2014/09/20

「Re:Birth」- Episode 6

Sims3を使用したオリジナル・ストーリーです。
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<読み方>  
『 』 ⇒ セリフ  
〔 〕 ⇒ 思考  
カッコなし ⇒ 説明等  
≪ ≫ ⇒ ストーリーテラー、ナレーション  
♪ ♪ ⇒ 音声や環境音  
= = ⇒状況説明等  
*  ⇒ 補足  
※  ⇒ 注意

※全体を通してひとつに繋がるようにストーリーを作っていくつもりなので、Episode1から順に、読み進めていただけるとありがたいです。

『 「Re:Birth」 - Episode 1 』は、こちら

『 「Re:Birth」 - Episode 2 』は、こちら

『 「Re:Birth」 - Episode 3 』は、こちら

『 「Re:Birth」 - Episode 4 』は、こちら

『 「Re:Birth」 - Episode 5 』は、こちら

前回までのあらすじ

現代の都会に住むネコが、自身の過去の話をする…。

数百年前の話、その黒ネコはトラビス・ガインというフェアリスランド王室専属高位魔法使いで、ある日突然、隣国ラヴェール(元)王国の王室専属高位魔法使いのラフィリア・メレディから、魔法使いにとって生命(いのち)である魔力を一人分の半分以上も送りつけられる。

トラビスは、その真相を確かめる為にラフィリアの元へ向かったが彼女はすでに何者かに殺されていた。

トラビスは、ラフィリアの住み家を後にする際に、約10年前にラヴェール(元)王国で起きた事件を思い出した。
そこでトラビスは、その事件現場に取り残された一人の少年と出会う。

その少年の名は、カイル・ラトウィッジ。
トラビスは、その少年(カイル)を事件現場から助け、保護した。

カイルは、トラビスの元で暮らすようになり、亡くなった父親のように真面目で誠実な人間に成長していた。

そして、今ではトラビスの良い相棒になっていた。

そんなある日、フェアリスランドの王様の一人娘であるフィオナ姫がトラビスに頼みごとがあると、直々にトラビスを訪ねてきた。



Re:Birth





なんで、大したことでもないことが、とてつもなく幸せに思えるのだろう。



“続きを読む…”から、つづき(Episode6・本編)をご覧いただけます。

Re:Birth Ep6






いつもと変わらない風景が、必要以上に鮮やかに鮮明に見えたり、彼女が少しこちらを向いてほほ笑むだけで、世界の幸せを独り占めした気分になるのはなぜだろう。













俺は長く生きてるから、おそらく普通の人間よりその経験は多くしているだろう。
それで、何度も痛い目にあっても、もう二度としない!と思っても、なんでまた同じことを繰り返すのだろう。












そうだ。俺は、フィオナ姫を…





































フィオナ姫:『トラビス。』





トラビス: フィオナ姫は、テラスに降り注ぐ、やわらかな日差しと同じくらいのやさしい笑みで、俺を迎えてくれた。





彼女のしなやかでやわらかそうな長い髪が揺れるたびに、可憐で清楚なすずらんの香りがする。






この香りは俺が以前、フィオナ姫をイメージして、特別に調香した香水の香り。






フィオナ姫の誕生日に、姫様に“幸せが訪れるように”と思いを込めて贈ったものだ。






トラビス:『フィオナ姫、お誕生日おめでとうございます。ささやかではございますが、こちらを姫に。。。』





フィオナ姫:『トラビス。そんなに気を遣わなくてもいいのに^^』





トラビス:『姫様をイメージして、特別に調香した香水です。気に入ってもらえるとうれしいのですが…』





フィオナ姫:『まあ!私のために?特別に?』





トラビス:フィオナ姫は、俺の作った香水をうれしそうに、そっと受け取ると、その香水の香りを振りまいた。




フィオナ姫:『すごく素敵な香り♪とてもうれしいわ。どうもありがとう。トラビス。』


いまでも、あの時のフィオナ姫の笑顔は忘れられない。
そして、彼女も俺の作った香水をとても気に入ってくれて、ずっと愛用してくれている。




今では、フィオナ姫といったら、このすずらんの香りになっている。








そんなフィオナ姫には秘密がある。




俺がフェアリスランドの王室魔法使いとして雇われている理由のひとつとしても、彼女の秘密に大きく関係している。












その秘密は彼女の母親から始まっている。



昔、まだ俺がこのフェアリスランドに来る前に、フィオナ姫の親にあたる王様とお妃さまは出会っていた。

領内の森で、趣味で狩猟をしていた王様に発見されたのが、お妃さまだ。

彼女は傷付いていた。


王様はすぐに、彼女を保護し、フェアリスランドのお城へと連れ帰った。


出会った当初、その女性は“アンジェラ”という名前で、名字(セカンドネーム)はないと言っていたそうだ。


その時、王様は名前しかない(奴隷に名前しかないのは珍しくはなかった)ことや、発見時の傷付いた姿から、どこかの国の奴隷が主人から逃げてきたのだろうと思ったらしい。


しかし、彼女は奴隷として育ったとは思えないほど、教養があり知的で聡明な女性だった。
そして、傷の癒えたその女性は、一瞬で人を魅了する程、とても美しかった。

そして…優しい王様と、その美しい女性が恋に落ちるのには、さほど時間は掛からなかった。



王様とその女性は結婚した。


王様のご両親は、すでにその時にはご逝去されていて、お二人のご結婚に反対する者はいないようにも思えるが、案の定、フェアリスランドの元老院や上層部の自分の娘たちを王様のお妃に据えて自身の権力を強めようといろいろ策略していた者たちは、得体のしれないその女性との結婚を大反対していた。
しかし、その女性に直接会って、その聡明さと美しさと神秘的な魅力にを目の当たりにした途端、反対の声は薄れたそうだ。


その頃に、俺はフェアリスランドに渡来し、王様に王室専属高位魔法使いとして起用された。

王様同様にお妃さまも、俺のことをとても気に入ってくれてよくしてくれた。



そんなある日、お妃さまは誠実な王様に隠し事をしていることに心が痛んだんだのか、ある秘密を打ち明けた。



お妃さまは、王様にこう伝えたそうだ「自分は、天使であった。」と…。



王様は、最初は半信半疑だったが、彼女の真剣な表情や、今までの彼女の神秘的な魅力から、本当かもしれないと思ったそうだ。


そのことを王様は、俺にだけ相談をした。
俺も、最初は信じられなかったが、王様と同様、お妃さまの神秘的な魅力は“天使”だからかもしれないと感じた。
この世だって俺みたいな魔法使いや妖精や人狼、人魚なんかの不思議な生き物がたくさんいるから、天使だっていても不思議じゃないとも思った。(まあ、天使はそれらとは一線を画すが…)

それに、妖精は“天使と妖魔のハーフ”だって聞いことがあったし。

(※ここで言う「妖精」の“天使と妖魔のハーフ”は、〔天使の血と妖魔の血を併せ持つ種族〕という意味合いで、ハーフの子供という意味ではありません。)


でも、お妃さまはなぜか俺と一緒で、妖精の種族が苦手なようだった。
まあ、妖精は天使のハーフといっても妖魔が混じっているから、本物の天使にとってはあまりいい者とは思えないのかもしれないが…
天使にも階級があるって言うし、そういうものなのかなと、俺は思った。






やがて、お妃さまはフィオナ姫をお腹に授かった。


しかし、お妃さまはそれ以前から、身体の具合はあまり良くなかった。


その状態で、子供を出産することは、お妃さまの身に危険が及ぶ。
ご出産は、不可能だろうという状態だった。


お妃さまのご懐妊がわかるとすぐに王様は俺に、こう依頼をした。“お妃さまとお腹の中にいる子供を守って欲しい。”と。。。





残念ながら、いくら高位魔法使いと言っても万能ではない。
もちろん、傷や病気を治療するという面では魔法使いの方が、人間よりはるかに優れてはいるが。


変な話だが、死ぬものを生かすものに変換する…人の生…自然の摂理に、逆らうようなことはできない。
しかも、もしお妃さまが本当に天使だったとすれば、なおさら未知数だ。



王様もそのことを十分理解していたが、その時は藁にもすがる思いで、つい出てしまった言葉だろう。




俺は、王室専属魔法使いの契約を解除されることを覚悟で、「最善を尽くす所存にございますが、私の力ではお二人とも助けられる可能性は低いかと…誠に申し訳ございません。」と伝えた。


人の生死に関わることで、できないことをできると嘘を言って、やみくもに繋ぎとめることは、俺のポリシーに反する。





俺の言葉を聞いた王様は、“やはり…、そうか。。。無理を言ってすまない。”と言いながらあきらめの色が浮かんだ顔をした。
でも王様は、俺を責めるようなことはしなかった。





王様も俺の答えを聞く前から、わかっていたようだったが、かすかな希望を込めて俺に頼んだのかもしれない。














すると、お妃さまが突然現れた。









そして、王様の元へ近づくと、






お妃さま:『私は、この子を産みます。たとえ私の身に代えても。』





トラビス: そう宣言した彼女のその言葉には、誰にもそのことを覆すことは許されない…たとえ王様でも…という強い意志が込められているように聞こえた。





お妃さまは、そう言うとすぐに、その身を翻し、王様と俺がいる部屋から出て行った。


高い天井のホールに、お妃さまの足早にこの部屋を去る靴の音が響く。




そして、その後をすぐに王様が追いかけて行った。


部屋に取り残された俺は、こう思った。
あとは、夫婦の問題だ…と。


はっきり言ってしまうと、これまでは王室専属高位魔法使いのことはあまり深く考えたことがなかった。
もちろん、与えられた仕事はきちんとやるが、でもそれをずっと続けていくつもりはなかった。


適当な時期が来たら、ここを出て、どこかまた違う国にでも旅に出ようかと思っていたのだ。
だから、王様に“お妃さまが天使だった。”という、(本当かはわからないが…)その秘密を教えられた時、正直〔変な秘密を知ってしまったばかりに、この国から出られなくなったら、どうしてくれるんだ。〕とさえ、王様には悪いがそう思ってしまったこともあった。


でも、あの二人の姿を見て、その考えは捨てた。




それと俺は、あの二人がどんな答えを出そうとも、最善を尽くそうと決意した。







二人の出した答えは、“子供を産む”ということだった。


俺も二人の答えを真摯に受け止めた。
そして、もしも万が一、どちらも。。。という最悪の事態が起こった場合のその責任…俺は命を覚悟した。


そして、それから数カ月が過ぎ…フィオナ姫は生まれた。



しかし、お妃さまはフィオナ姫を産んだすぐ後に、天に召された。


その時、王様はこうおっしゃっていた。「彼女は、元いた場所に帰っただけだ。悲しくはないよ。トラビス。」


王様は、その後も後妻を娶ることはなかった。





そして、お妃さまが命を掛けて、産んだフィオナ姫は、健やかに育った。
国の皆から愛され、祝福された子だ。


フィオナ姫も、可憐で清楚で、民に寄り添う優しいお姫様だ。


それに、お妃さまのあの“天使だった”という言葉が真実かどうかはわからないが、フィオナ姫は、“天使”のようにかわいいのは事実だ!!


もちろん、今でもお妃さまが“天使”ということや、フィオナ姫が天使の血をひいていることは、王様と俺と、そしてフィオナ姫、それと、フィオナ姫が幼い時、ポロっと言ってしまったフィオナ姫の親友とカイルしか知らない。(信じてる信じてないは別として。)






わかってる。好きになってはならない相手だということは…。




でも、日に日に美しくなるフィオナ姫を見てそう思わない方が不思議なくらいだ。
(言っとくが、フィオナ姫を幼少期から見ているが、俺はロリコンじゃないからな!!そういう感情を抱き始めたのは彼女が成長してからだ。)


でも、この想いは自由だろ。誰にも止めることはできない。
王様でも、どんな権力者でも、金持ちの上流階級の者でも…そして、俺自身でも。


たとえ魔法で脳を操ることはできたとしても、“心”の部分は操れない。
どんなに強力な魔法を使っても、その部分は絶対に侵せない。




トラビス:『これは、フィオナ姫。わざわざこのような場所に足をお運びいただき誠にありがとうございます。』




と俺は、うれしい気持ちを抑えて、あえてクールを装いながら、挨拶した。
(要するに、かっこつけた。)




トラビス:すると、フィオナ姫は、“クス”っと笑った。




フィオナ姫:『その言葉なら、さっきカイルも言っていたわ。^^』




トラビス: フィオナ姫にそう言われると、俺の発言がカイルとかぶったことをちょっと悔しいと思った(笑)





とりあえず、座ってもらった。








そして、魔法ですばやく、フィオナ姫の好きなバニラフレーバーの紅茶と、それに合うお菓子をケーキスタンドで、お出しした。











(これは魔法で作ったものではない。普通に作ってあるものを魔法で持ってきただけ。安全な食べ物だ。もちろん一流の。)




フィオナ姫:『ありがとう。トラビスが出してくれるお茶とお菓子はいつもかわいくておいしそうだわ。』






トラビス:『ありがとうございます。』




トラビス: そして俺は本題に移った。



トラビス:『姫様、私に何かご依頼があるそうで?』









フィオナ:『あっ…ええ。。。そうなの。。。』


トラビス: フィオナ姫は、なぜか頬を赤らめ、はにかみながら、本当はそのことで頭がいっぱいなのに、わざとその頼みごとを忘れていたかのような言い方をした。





しばしの沈黙があり、フィオナ姫はささやくように、小鳥のさえずりにも似た声で話しだした。




フィオナ姫:『…実は。。。あの…お守りを作っていただきたくて。。。』



トラビス: フィオナ姫は、少しうつむき顔を赤くしながら、恥ずかしそうに、やっとその言葉を言い終えたというような表情をした。
言葉の終りの方は、かろうじて俺のところまで聞こえるくらいの声で。




トラビス:〔かわいすぎるぞフィオナ姫!! お守りくらいいくらでも作ってやる!!〕と心の中で思った。






もうすぐ姫様の誕生日が近い、そのプレゼントとしてお守りになるものがいいということか…。




俺は、姫様がバースデーパーティーで、着用するティアラに合うネックレスやリングなどのアクセサリーのデザインを考え始めていた。




フィオナ姫の好みなら、十分わかってる。


スノーやフローラルホワイトの白や、クリームやレモンシフォンのアイボリー系、あと、アリスブルーやミントクリームのような淡い水色や緑色などのパステルカラーを好む。


デザインは、ゴテゴテしていなく豪華過ぎず、かといって、シンプルすぎない、女性らしいやわらかいフェミニンなデザインを好む。



想いを寄せる相手に贈るものを考える時間は、なんと贅沢な時間なのだろう…。






といろいろと思いを巡らせて考えていると、フィオナ姫がこう切り出した。




フィオナ姫:『…私の考えてきたデザインがあるの。。。』




トラビス: 〔え?〕と思ったが、まあ本人の欲しいものが一番だろうと思いフィオナ姫の話を聞いた。




トラビス:『どのようなデザインで?』






トラビス: そう俺が聞き返すと、フィオナ姫は、花が咲いたように顔が明るくなり、少し饒舌に話しだした。


そんなちょっとした表情も俺には愛おしい。



俺はまるで宙に浮いて行くようなやわらかな気持ちで、彼女の話を聞いた。














。。。














トラビス: 彼女が話す言葉に、
俺の宙に浮いたやわらかな気持ちは、着地点を見失ったまま、宙を彷徨った。。。




彼女が俺に伝えたそのリングのデザイン。。。それは…







シンプルで、パステルカラーではない色。



明らかに、フィオナ姫が着用するものではないと感じた。





そして、フィオナ姫の親友にあげるものかとも思ったが、その親友なら俺もよく知ってる。
そいつは、ガサツで騒々しいが女の子らしいかわいいものを好のむし、なによりピンクが大好きだ。
頭の中がメルヘンだからな!
(俺が、ラフィリアから魔力を送り付けられて、1週間くらい眠りについていた時に、俺の足の裏に“勘違いヤロー”といたずら書きしたのは、コイツだ!!)


その女でもないと思った。








そして、力強く、少し角ばったようなゴツゴツした感じのデザインだった。




そう、おそらく男物だろう…



そして、それは俺への贈り物ではないことも明らかだった。
まず、プレゼントを贈る相手に作製を依頼することは、あまりないだろう。


それに、フィオナ姫も俺の好みをよく知っている。
左耳に付けているピアスも、指輪もフィオナ姫から頂いたものだ。
俺は、ゴシック調のものを好む。あまりよく見えないが、このピアスだって細かなゴシックテイストの装飾が施してある。
俺のお気に入りだ。




また、王様へのプレゼントとして考えてしまうのも、いささか都合が良過ぎるだろう。






俺も伊達に100年近く生きてる訳じゃない。
それに、もともと“そういうこと”には、鋭い方だ。





要するに、“男”に贈るものだろう。それは誰だかはわからないが…


なにより気になったのは、フィオナ姫は、その、おそらくよく考え込まれたであろうリングのデザインを話している時、終始彼女は…






何かに思いを馳せているような、夢見心地のような…




俺を通して誰かを見つめているような…





その眼差しは、まるで…



まるで、俺がフィオナ姫を見る時と、同じ眼差し。。。
そう、恋でもしているような瞳だった。





着地点を見失った俺の宙に浮いたやわらかな気持ちは、そのまま落下し、地中深くまで沈みこんだ。地球の反対側まで付き出るんじゃないかってくらい。




次に、“その相手は誰か?”という疑問と共に、湧いてきた感情が、嫉妬と焦りと不安という思いが入り混じったものだった。





そんな感情を抱きつつも、たぶんそいつの為に随分と考えたであろう姫様のデザインを聞いた。
これも、仕事だ仕方ない。




トラビス: デザインを一通り、俺に伝え終えると、フィオナ姫は「よろしくお願いします。」と一言添えて、帰って行った。








トラビス: 非常に気が乗らない。はっきり言って、そんなもの作りたくもない。
〔どうして、俺がヤローのリングなんか作らなきゃいけないのか!〕と思いつつも、仕事をテキトーにやるのも、俺のポリシーに反する。


俺は、120%はやらないが、常に100%をしようと努力する。(実際100%になってるかは、ひとまず置いておいて)



気になるのが、“フィオナ姫が、それを贈る相手”だ。


俺は、一瞬…。。。





カイルの顔が脳裏をよぎった。




…この時、カイルに嫉妬しなかったと言ったら、嘘になる。。。
俺は、カイルに嫉妬した。





でも、俺はその感情を振り払った。
そんなことを考えてはいけない。と…







リビングに戻ると、カイルが朝食を作って待っていてくれた。



カイルは、洞察力が鋭い。



俺は、感情を顔に出さないようにしているつもりだったが、カイルは俺の暗い表情を察知したのか、心配そうに、こう尋ねてきた「何かあった?フィオナ姫は何の御用だったんだ?」と。




トラビス:『いや別に、ちょっと作って欲しいものがあるって言ってね。』と軽く簡単に答えた。






カイルは、「ふーん。」と言った。



もしも、フィオナ姫がカイルに、そのリングを贈るのであれば、あまり詳しくは言わない方がいいだろうと思ったからだ。
サプライズにならないだろ。







カイルは、良い奴だ。
頭も良くて、運動神経も良くて、おまけにそれなり顔もいい。(俺には劣るがな!)


俺がここまで教養と魅力溢れる男に育てたのだから、姫様が惚れない訳ない!


まあ、カイル自身も自分に驕らず、努力家で誠実な奴だ。


信頼できる。





カイルは、俺にとって、相棒であり、弟のような存在であり、家族も同然だ。


そして、“友”でもある…


さっき言った〔フィオナ姫を愛する気持ちは、誰にも止めることはできない。
王様でも、どんな権力者でも、金持ちの上流階級の者でも…そして、俺自身でも。〕という言葉は撤回する。
俺は、こいつの為なら…







トラビス:そして、いつも通りの朝食の時間を過ごし、カイルは食事を終えると、「じゃあ、行ってくる。」と言って、講堂(講義)に行った。








ドアをバタンと閉めて、カイルが走り去っていく足音を聞きながら、俺は思った。










俺は、もう二度と…友を失いたくはない…








トラビス: …なあ、お前は、今何をしているんだ。。。ここには、お前の帰りを待つ者がいるというのに……。






お前のあの騒々しい妹は、もうあの時のお前くらいに成長しているぞ。








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