2015/04/15

「Re:Birth」 - Episode9 - 〔ワンダーガール*Wonder Girl〕


Sims3を使用したオリジナル・ストーリーです。
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(↑上記表現が、どの話・部分にあるかはストーリーの都合上、明記しません。
閲覧の際は自己責任でお願いします。)
※ScreenShotsで表現できない部分は、文章になってしまいます。
※もちろんフィクションです。名称等もフィクションです。 

※コメント欄はありますが、使用CC・Mod等の質問などは、お答えできかねます。 自分自身も把握しきれていないため(^-^;)
※コメントをいただけるのは、とてもうれしいので感想を残したいという方は、コメントを書いていただければ参考にさせていただきます。
(簡単なコメントでも全然大歓迎です。)

※Web拍手も大歓迎です。


<読み方>  
『 』 ⇒ セリフ  
〔 〕 ⇒ 思考  
カッコなし ⇒ 説明等  
≪ ≫ ⇒ ストーリーテラー、ナレーション  
♪ ♪ ⇒ 音声や環境音  
= = ⇒状況説明等  
*  ⇒ 補足  
※  ⇒ 注意

※全体を通してひとつに繋がるようにストーリーを作っていくつもりなので、Episode1から順に、読み進めていただけるとありがたいです。

『Re:Birht』ストーリー*もくじへ

『 「Re:Birth」 - Episode 1 』は、こちら

『 「Re:Birth」 - Episode 2 』は、こちら

『 「Re:Birth」 - Episode 3 』は、こちら

『 「Re:Birth」 - Episode 4 』は、こちら

『 「Re:Birth」 - Episode 5 』は、こちら

『 「Re:Birth」 - Episode 6 』は、こちら

『「Re:Birth」- Episode 7 ✼ Part 1 - 〔少年と本〕』は、こちら

『「Re:Birth」- Episode 7 ✼ Part 2 - 〔嘘とお願い〕』は、こちら

『「Re:Birth」- Episode 8 ✼ Part 1 - 〔狼煙とメガネの英雄〕』は、こちら

『「Re:Birth」- Episode 8 ✼ Part 2 - 〔鳥かごの中のお姫さま〕』は、こちら

『「Re:Birth」- Episode 8 ✼ Part 3 - 〔ベッドの下の不思議なお城〕』は、こちら

『「Re:Birth」- Episode 8 ✼ Part 4 - 〔ラヴィリンス*Labyrinth〕』は、こちら

前回までのあらすじ

それは、現代の黒猫が話す過去のおはなし。
その黒猫は、トラビス・ガインという魔法使い。

むかし、あるひとつの大陸に3つの国があった。
東にベリッド王国、西にフェアリスランド、その中央にラヴェール(元)王国があった。
中央のラヴェールは、数年前に王様が起こした自国民の大虐殺により、現在はベリッド王国が統治している。

そして、その黒猫=トラビス・ガインは、王室専属高位魔法使いとして、西のフェアリスランドに仕えていた。

ある日、隣国のラヴェール(元)王国専属高位魔法使いだったラフィリア・メレディに、魔法使いにとって“命(いのち)”である魔力をその一人分の半分以上の量を突然送り付けられた。
真相を調べようとしたが、ラフィリアは既に何者かに殺された後だった為、ほとんど何もわからなかった。

また、トラビスは、10年前ラヴェール(元)王国で起こった事件現場からカイルという少年を助けた。
その少年(カイル)も、やがてトラビスのもとで成長し、トラビスの良き相棒になっていた。

トラビスが密かに想いを寄せるフェアリスランドの一人娘のフィオナ姫は、誰かに恋をしている様子。。。

トラビスがフェアリスランドへ来て初めてできた心を許せる友:エヴァンと、その家族・祖父:アルフレッド(宮廷画家)、母:アリアンナ、妹:アリスとも親しくしていた。

親友:エヴァンは自身の夢を叶えるために旅立ち、そしてその後すぐに、宮廷画家でもあるエヴァンの祖父アルフレッドは、隣国ラヴェール王国の王子の絵の指導の為と、フェアリスランドとラヴェール王国の友好関係維持の為にラヴェール王国へ行ったが、灰となってラヴェールから帰還した。
その死には不可解な点があり、トラビスはラヴェール王室への不信感を抱くようになった。

しかし、ラヴェール王室の内部情報を知る者は、もう現在はこの世には存在しておらず、その真相を確かめることは不可能だった。

そして数年が経ち、エヴァンの妹のアリスは、旅立った当時のエヴァンの歳くらいに成長した。
しかし、今でも兄のエヴァンは戻ってきていない。
トラビスは残されたエヴァンの家族とともに彼の無事を信じ、帰りを待っていた。


一方、カイルは、フィオナ姫に「姫としてではなく、せめて2人の時だけでも普通に接して欲しい。」とお願いされる。
そんなフィオナ姫の言動にカイルは、シャイなはずのフィオナ姫のいつもと違う様子を不思議に思っていた。

フィオナ姫は、以前からカイルに好意を寄せていたが、カイルには別に好きな人がいることに気付く。

そんなフィオナ姫は、アリスと幼少期に偶然見つけたフィオナ姫の部屋(生前のフィオナ姫の母:お妃さまの部屋)から、行くことができる床下(ベッドの下)の秘密の場所・・・

フィオナ姫は、そこで何者かと出会っていた。


「Re:Birth」 - Episode9 - 〔ワンダーガール*Wonder Girl〕



=約数年前のラヴェール王国の寂れたバーの離れの地下貯蔵庫=










幼少期カイル:『父さん!行かないで!!』







=カイルの父親:ウィル(ウィリアム)・ラトウィッジ=





ウィル(カイルの父):『必ず戻ってくる。約束だ。』



カイル:『待って!父さん!行かないで!!僕を一人にしないで・・・』
































・・・・・許さない・・・絶対に・・・





























カイル: ・・・俺は、絶対に許さない。


父を殺した奴を


必ず見つけ出し、報いを受けさせる。


そして、父が味わった痛みの数十倍以上の苦痛を与えながら、恐怖と共にこの世から葬り去ってやる。


必ず。













カイル: 〔―――っ!!・・・・・・・。。。〕









カイル: 未だにまだあの夢にうなされるなんて・・・






カイル: うっ、体が重い…






















カイル: 〔お前かよ!!〕





カイル: この寝像の悪さは、いったい何なんだ?
その寝方苦しいと思うんだが・・・どうしたらそうなるんだよ。。。







言っておくが、このぬいぐるみたちは、俺のじゃない。
アリスのだ。



アリスが俺の部屋を占領しているせいで、俺の部屋はメルヘンランドになりつつあるが。。。

アリスは寝る前に、ぬいぐるみそれぞれに「おやすみなさい。」とあいさつしている。
なぜだか、俺もあいさつしないといけないことになっている。。。
やらないとギャーギャーうるさいから仕方なくやっているが。。。正直めんどくさい。
あんなとこ他の奴に見せられないぞ。いい歳した男がぬいぐるみに挨拶してるなんて。












カイル: まったく、幼稚園児かよ(笑) 





ちなみに、テディベアの方がアリスのお兄さんからもらったお気に入りらしく、黒猫の方はトラビスに買ってもらったらしいが、そっちの方は、なんかめちゃくちゃいじめ倒している。
名前も“トラビスJr.”って名付けてるし。
アリスは、日ごろのトラビスに対する鬱憤を、この黒猫のぬいぐるみ(トラビスJr.)で晴らしている(笑)

よくその黒猫のぬいぐるみを使って「お前は、これから火あぶりの刑だ!」とか言ってる。。。魔法使いのトラビスにとっては少し洒落にならないんじゃないかと思うが、トラビスも応戦して仕返ししてるから、まあ、どっちもどっちお互い様だな。























トラビス: 〔あれ?カフスボタン(カフリンクス)がない。どこやった?〕
































トラビス:『なあ、カイル。俺のカフスボタン知らないか?この間付け・・・』








































カイル:『ああ、この前着てたシャツのポケットに入ってたぞ。洗濯する前に、ポケットの中身は出しとけって、いつも言ってるのに。。。今持ってくるよ。』








トラビス:『;;; こいつ、また泊ったのか。』








カイル:『ああ。おばさんも入院中だし、あの家にいたらアリスひとりになるから、ここにいた方が安心だろ。』








トラビス:『あの家には、俺が魔法でプロテクト掛けてるから、そう易々と外部のやつが侵入はできないぞ。』




カイル:『いや、家の内部でのことを言ってるんだけど・・・』





カイル: そりゃあ、もちろん外部からの侵入者(泥棒)とかの心配もあるが、アリスの場合、家の中での事故がありそうで心配なんだ。危なっかしい奴だから。








トラビス:『ふんっ!このマヌケの能天気小娘は、ちょっとぐらい痛い目を見た方がいいんだ。痛みでそれが危険だということが覚えられるからな!!』








カイル:『アリスは、ネズミや猿じゃないぞ;』




トラビス:『何言ってるんだ!カイル。ネズミや猿に失礼だぞ!!』




カイル:『・・・;』




トラビス: カイルは、“あーまたいつものが始まった。”と言わんばかりに、目だけで天を仰ぐ表情をして、俺のカフリンクスを取りに行った。








トラビス: 別にアリスが疎ましい訳じゃない。まあ、かなり面倒くさい奴ではあるが。
大切な親友の大事な妹だ。俺自身も自分の妹みたいな感覚でいる。
それはそうなんだが、どうしてもこういう感じになってしまうんだ。今に始まったことじゃない。
アリスが鼻を垂らした(←垂らしてない)子供の頃から、こんな感じだから、いまさら変えようとも思わないし、変えたところでどんな態度をとればいいのかわからない。
















トラビス:〔・・・ん?〕








トラビス:〔・・・〕




トラビス:〔・・・え?〕




・・・いや、カイルの部屋で、アリスが寝るのは今に始まったことじゃなくて、幼い頃からだし・・・
俺は、カイルとアリスはまだまだ子供のままだ。という感覚でいたし・・・
あまり気にしていなかったが・・・。

でも、さすがにカイルとアリスが一緒の部屋で寝るのはマズイ気がしてきた…。
とりあえず、カイルは長椅子で寝ていたみたいだが。。。

・・・えっ?えっ?えっ?! カイルは長椅子で寝てるっていう配慮があるってことは、それなりに意識して気を使ってるってことだろ?!

なんだこの“今まで子役と思っていた芸能人がいきなりヘア○ード写真集でも出したような時くらいの衝撃は?!”




でも、最近カイルは、なんだか妙に色っぽいし…








トラビス:〔いやぁ~、でも相手はアリスだぞ! フィオナ姫までをも魅了するあの引く手あまたのカイルが、鼻垂らしアリス(←だから垂らしてない)なんか相手にするはずがない!!
それに、カイルはしっかりしてるし、そんなことはまずない!!〕




トラビス:〔・・・いやでも待て、万が一、万万が一、若気の至りとか魔がさしたとかで、そっそーいうことになったら・・・〕





トラビス:〔ここは託児所じゃねーぞぉ!! カイルに似た子供が産まれれば聡明で優秀で大人しくて聞き分けの良い子供だろうが、アリスに似たら・・・うぅっ考えただけでもゾッとする。

なぜか、そういう奴の遺伝子に限って優位に出てくるんだ!!全く!!
これ以上そんなガキが増えたらどーなる!?ただでさえ、アリスで10人分のガキがいるようなもんなのに!! 

俺は、生活感がないところが魅力なのに、そんなクソガキができでもしたら、所帯じみるどころか、じっジジくさくなっちゃうじゃないか!!

それに、エヴァンが帰って来た時、なんて言えばいい?
授かった命は大変ありがたいが・・・一応アリスを預かっている身としてはやはり言いづらいし。。。
「いや~、俺の連れてきたカイルって奴といつの間にかできちゃってて子供生まれちゃいましたぁ❤」とかオブラートに包んで「おめでた婚とか授かり婚」とでも言っておくか。〕





もちろん、エヴァンはカイルをとても気に入るとは思うが・・・ダメだ、そういう問題じゃない!




それに、カイルは一夜の過ちにとてつもない重責と罪を感じて、子育てや家事を全て一人でこなしながら仕事をし、昼過ぎまで起きて来ない&何もしない嫁(アリス)の面倒をみて・・・




実際カイルは全てのことをなんなくこなせる能力があるから、なおさら・・・カイルかわいそ過ぎる…。゚( ゚இ_இ゚+)゚。




トラビス: 俺の管理下においてそれは許されないぞ!! カイルの完璧な人生の邪魔はさせないぞ!!
にっくきアリスめ!!




トラビス: やっぱり、アリスのゲストルームも作らなきゃだめか・・・
俺は、昔の出来事を思い出した。。。

以前、アリスが小さい頃、家によく泊まりに来るから、奴の部屋をわざわざ作ってやった。
その当時のアリスが「シンデレラ姫みたいなお部屋がいい❤」って言うから、それを忠実に魔法で再現した部屋を作ってやった。

我ながらかなりいい感じの再現率で自信作だったのに。。。
なのにバカアリスときたら、「こんな屋根裏部屋みたいな汚いのいやぁ~!!うぁわぁ~ん!!トラビスのばかぁ~!!」と言って大泣きしたことを思い出した。

だって、シンデレラ(灰かぶり)姫の部屋って言うのは、そういうものだろ!?
まったく何が不服なのか、自分で希望したくせに。
その後、俺とアリスが大騒ぎしたのは言うまでもない・・・

結局その部屋は使わず、アリスは家に泊まる時はカイルの部屋で寝ていた。
アリスがひとりで喋りまくって話し疲れてそのままカイルの部屋で寝てしまうというパターンだ。

俺も、その“シンデレラ(灰かぶり)姫の屋根裏部屋”の件があってから、意地になってアリスに新しい部屋を作ってやらなかった。


そういう経緯があって、アリスはカイルの部屋で寝てるんだが・・・


年頃の男女が、真夜中に一緒の部屋にいて、何か起こらない訳がない!!
少なくとも俺はそうだ!!(キッパリ) 相手がアリスなら(一応妹分だし、それは絶対に有り得ないが)その可能性は完全に0、いやマイナスに近い0だが、もしも、フィオナ姫だったら///・・・

(※トラビスとアリスは、血は繋がっていませんがお互い兄妹という感覚でいるので、恋愛対象になることはありません。)




=トラビスが変な妄想をしていると、カイルがトラビスの探していたカフスボタンを持ってきていた。=












カイル:『…何にやにやしてるんだ?』



=トラビスは、カイルの問いかけに我に返った。=




トラビス:『///いっいや、別に::。。。っきょ今日もいい天気だな!と思っていたところだ!!』








カイル:『・・・ものすごい曇ってるぞ。。。疲れてるのか?』











=数年前。 トラビスがカイルをフェアリスランドへ連れて来て一緒に暮らすようになった当初の頃=















子供の頃のアリス:『♪プリン♪プリン~♪』



=アリスは、冷蔵庫を開けて、トラビスがいつも仕事終わりの楽しみにしている好物のプリンを探していた。=



アリス:『はぁ~目が回ったでござる@@@。』(←トラビスの家の庭先から、エントランスまでバレリーナのくるくるのまねっこしながら来た。)

アリス:『ていっ!!へへ~んだぁ。この裏っかわにプリンを隠してあることはお見通しであるのだぁ~意地悪魔法使いめ!!』




アリス:『みぃ~っつけた♪プリンさんもトラビスに食べられちゃうよりアリスに食べられた方がいいよね♪』








子供の頃のカイル: ・・・?下に誰かいる?・・・トラビスさんは仕事だし・・・忘れ物でも取りに来たのかな?



=カイルは、下の階に様子を見に行った。=








子供アリス:『プリンプリン❤♪』








子供カイル: 〔女の子?〕








子供カイル: 〔あっ、あれは、トラビスさんが仕事から帰ってきたら、食べようといつも取って置いてあるプリン…(僕の分もあるけど…)〕




子供アリス:『ん~❤おいしぃ~ほっぺ落ちちゃうよぉ♪Yummy❤Yummy♪』




子供アリス(トラビスJr.のふり⇒):「アリスさまぁ、僕にもプリンを分けてくださいよぉ。」




子供アリス:『ふはははは。お前はいつも“かわいい”アリスさまをいじめている悪名高い魔法使いだから、お前の分のプリンはないのだぁ~。はっはっは~。』




子供アリス(トラビスJr.のふり⇒):「これからは、“かわいい”アリスさまをいじめたりしません!だから、僕にもください。」




子供アリス:『そこまで言うのなら仕方ない。これからは“かわいい”アリスをいじめるんじゃないぞ。』
子供アリス(トラビスJr.のふり⇒):「はい。お約束します。これからは“かわいいかわいい”アリスさまをいじめたりしません!」




子供アリス:『あっ☆!!』




子供カイル: 〔!!〕




子供カイル: すると、一人遊びをしていたその女の子は覗き込んで見ていた僕に気が付くと、目を見開きながらこっちへ駆け寄って来た。




子供アリス:『わぁー。』








子供アリス:『あなたがカイルくん?』








子供カイル:『そっそうだけど。。。』




子供アリス:『っ キャッ(。→∀←。)!♪ うわぁ~♪はじめまして♪ アリスは、アリスって言うの✿♪。 アリス・アリアーヌ・ランジェ♪よろしくね♫♪~あっ!アリスって呼んでいいよ♪だから、アリスもカイルのこと“カイル”って呼んでいい?』



子供カイル: そのアリスって女の子は、何が楽しいのか、発言の単語の語尾に“♪”でも付くかのように、わくわくした調子で話していた。
自分を名前で呼んでるから、自己紹介がなんだか妙だけど。
そして、僕が“カイル”と呼ばれることを了承する返事をする前に、その女の子は次の話をし始めた。




子供アリス:『もう~、トラビスが男の子を連れてきたって言うから、いつ遊べるのかってずっと待ってたのに、2週間経っても全然会わせてくれないんだもん!! だから、自分から来ちゃった♪』




子供カイル: “僕に会いに来た。”とは言っているけど、いまさっきまでプリンをおいしそうそうに食べていたところを見ると、僕よりプリン目当ての方が大半を占めているような気がした。




子供カイル: その女の子は、目をキラキラさせながら、僕に向かっていろいろ話していた。
僕に興味津々で話しかけてくるその口元からは、幼く小さな顔に不釣り合いなちょっと大きな生え換わったばかりの大人の上前歯2本がのぞいていて、それがウサギの前歯のように見えてかわいかった。




その子は、自分の話、トラビスさんの面白い話、彼女のお兄さんが書いた本の冒険のお話、この街で一番おいしいパン屋さんの話とか世間話や他愛もない話をし、その言葉は超光速で僕の頭を駆け抜けて行った。

どうして、女の子っていうのは次から次へとこうも言葉が出てくるのか?
しかも、この子は、どこから声を出してるのか不思議なくらいの高いところで音を発し、ゼンマイを巻き過ぎたブリキのおもちゃみたいに、矢継ぎ早に話しかけてくる。

僕は、頭の上を飛び回っている、その女の子の言葉を要点だけ掴み取って頭の中に入れた。

話している感じからして、悪い子ではない。ということはわかった。


でも、さっきこの女の子(アリス)が言ってた、トラビスさんが僕とこの子を「2週間経っても全然会わせてくれない」という理由がちょっとだけわかった気がした。

この子は、かなりハイテンションで、それに付いていくにはかなりのパワーが必要そうだった。
だからきっと、トラビスさんは、父をあんな形で失った傷心の僕に会わせるのをためらって、気を使っていたのだろうと思った。

そして、アリスちゃんって子も、これだけいろいろ話しているのに、僕に“家族”のことを聞こうとはしなかった。
たぶん、トラビスさんがそのことをちょっと話したのだろうと思った。
(子供相手だから、“父を殺された”とまでは話してないとは思うけど。たぶん「家族を失くした。」っていうくらいだろう。))


アリスちゃんは、いつ息継ぎをしているのかわからない程の話が一通り終わると”はっ”と、何かに気付いたように、体と目を同時にビクッとさせたと思ったら、いきなり僕の手を引っ張った。。












アリス:『カイルも一緒にプリンたべよぉ~♪ ここのプリンはとぉーーーーーーーってもおいしいんだよ❤』




カイル: 〔冷蔵庫の中にひとつだけ残っていたプリンを僕に食べさせようと自慢げに言っているが… それは、トラビスさんの分のプリン・・・。。。(2つプリンがあって一つはトラビスさんの分で、もうひとつは僕の分だった・・・でも、この子が食べちゃったから・・・)〕






すると今度は、持ってきたバスケットの中をガサガサと探り出して、きのこの形をしたビンを取り出した。







カイル: その中にはドナーツの型で上に砂糖がかかったいかにも甘ったるそうなクッキーが入っていた。



その前に、テーブルの上にもいちごジャムが上に乗ったハート型のクッキーとチョコチップクッキーが置いてあるんだけど・・・

カイル: なんかいろいろ心配になってきた。。。








アリス:『ママが作ったクッキー持って来たよ。ママの焼いたクッキーも、ちょーーーーーーーおいしんだよ❤こっちが隠し味が入ったイチゴジャムのトッピングのクッキーと、こっちはお砂糖のアイシングがくっついてるクッキーだよ。ほんのりレモンの香りがするんだよ♪あっあと、あっちはチョコチップクッキーだよ♪プリンと一緒に食べよう♪』




カイル: 全部食べる気なのか・・・。どうやらアリスちゃんは、僕とおいしいものを共有して楽しみたいのだろうけど…トラビスさんのプリンは取って置かないと。と思った。




カイル:アリスちゃんは、僕がプリンは食べない。と言ったら、「じゃあ、私にちょーだい♪」と言いそうな勢いだったから、僕は「プリンは後で食べる。」と言って何とかトラビスさんの分のプリンは死守した。




カイル: それから、数時間その子は、話し続け、また、トラビスさんの家の案内もしてくれた。

あれから、もう2週間ほど経ちこの家に住まわせてもらってるけど、自分の部屋や、リビングとか必要最低限の部屋しか行ったことがなかった。




カイル: アリスちゃんが“宝の隠し場所”と言っているトラビスさんの執務室は、・・・悲惨な状況だった。
さまざまな書物が乱雑に積み重ねられ、魔法の道具だろうか、いろいろなものが散らばっていた。

(※補足※一応、トラビスさんはいつアリスがいたずらしても大丈夫なように劇物や危ないものは施錠して他の場所にきちんとしまってあります。)





カイル: そんなことをしているうちに、トラビスさんが帰って来た。








トラビス:『!アリス!!お前はここに何をしに来ている!!お前は出入り禁止だ!!と言っただろう!!この危険分子め!!』




アリス:『んっもう!!トラビスの大好きなママの焼いたクッキーを持って来たんだよぉ!!』




トラビス:『///そっそうか、そのクッキーはありがたくいただいておく、アリアンナに「いつもありがとう。」と伝えてくれ。 で、用は済んだな。さっさと帰れ。』




トラビス: 〔・・・とっというか、“大好きな”の位置がおかしいぞ。。。好きなのはクッキーの方で、俺は純粋にクッキーが好きで・・・アリアンナがどうとかそういう訳じゃなくて・・・いや、アリアンナが嫌いとかじゃなくて;;;。。。ゴニョゴニョ〕




アリス:『やだ!!ここにいる!!だって2週間経っても全然会わせてくれないんだもん!だから自分から来たの!!』




トラビス:『この家は、優雅で知的な人間のみが入れるんだ。貴様はこの場には不釣り合いだ!』












カイル: 僕にやさしく話しかけるトラビスさんとは別人と思えるほど、アリスちゃんにはきつい言葉を投げかけていることに少し僕は驚いたと同時に、アリスちゃんが泣いてしまうのではないかと心配になった。








アリス:『むぅ~、あっ☆!じゃあ、トラビスもこのお家には入れないね~♪』




アリス:『“学級う○こ” いぃ~だ!!』








トラビス:『なっなんだと?! それ“う○こ”言いたいだけだろ!!』




アリス:『いひわふまふぉふかひいぃ~。(←いじわる魔法使い。)』




アリス:『キャー^^』




トラビス:『ちょっ待て!走ったら危ないぞ!!はぁ~まったく。』




カイル: アリスちゃんは、泣きだすどころかニヤリと笑いながらそう言うと、走って下へ駆け下りて行った。
きっと、この二人はいつもこんな感じなのだろう。と思った。




すると、トラビスさんは、なぜか僕に謝った。




トラビス:『すまない。カイル。あいつの相手は大変だっただろう。』




カイル:『いえ・・・大丈夫です。』
カイル: 別に謝られるようなことは何もされていない。











しばらくすると、トラビスさんは、いつも通り仕事終わりにプリンを食べようとしていた。








トラビス:『カイル、プリン食べたのか^^うまかっただろ^^』




カイル:『あっ;;はい。とても美味しく頂きました。』

カイル: 本当は、食べていなかったが、気を利かせてそう答えた。



すると、隣でぬいぐるみで遊んでいたアリスちゃんがトラビスさんの持っているプリンに気付いた。




カイル: そして、アリスちゃんが遊んでいたぬいぐるみを放り出し、トラビスさんに駆け寄って行って、トラビスさんが持っていたプリンをひったくった。









アリス:『ダメぇー!!これはカイルの分だよ!!食べちゃダメー!!』




カイル: せっかく僕が気を利かせたのに、アリスちゃんは余計なことを言った。
(※補足※できる子カイルが機転を利かせて、事態をまるく収めようとしてるのに、単純アリスは気付きません。)




トラビス:『カイルの分って・・・まさかっアリス!お前が俺の分を食べたんだな!!カイルそうなんだろ?』




カイル:『;;;・・・』
僕は、なんて答えていいかわからなくて黙ってしまった。



トラビス:『アリス!!もう少しでカイルのプリンを食べてしまうところだったじゃないか!!』



トラビス:『お前の分はないぞ!!勝手に人の家の食べ物を食べ散らかしておいて、まったく“盗人猛々しい”とは、お前のことを言うのだな!!』




アリス:『ムスットタケタケ?』




カイル: アリスちゃんは言われている意味がわからないようで、片言でその言葉を聞き返した。




アリス:『ムスットタケタケ~ムスットタケタケ~♪』




カイル: そう言いながら、なぜかその場で踊りだした。・・・わからない・・・僕には分析不能だ。。。

だけど、なんだかこの子・・・







トラビス:『やめろ!!どっかの部族の雨乞いの儀式みたく言うな!!勝手に人のものを食べたのに、態度のでかい図々しい奴だ。と言っているのだ!!』




トラビス: 〔今、カイルが笑ったか?〕




トラビス: 俺とアリスが、そんないつも通りのやり取りをしていると、視界に入ったカイルが「フッ」っと、少しだけ笑ったように見えた。









トラビス: ・・・俺は、少々困っていた・・・もちろん、カイルを引き取ったことを後悔しているのではない。
そうではなくてカイルは、あの事件の日以降泣いたりはしていない。
あんなことがあったにもかかわらず気丈に振舞っている。
どっかの変な大人(俺じゃないぞ。)よりも、しっかりしている。
まるで、軍隊にでも入ったような規則正しく厳格で真面目で律義なカイルの様子。。。
それは、尊敬にも値するが・・・
カイルが、しっかりと礼儀正しく振舞えば振舞う程、壁を作られているような気がした。。。それは音も光りも通さないような高くて分厚い壁。。。


そして、泣き言も言わず、悲しそうな素振もみせず、“僕は傷付いてます。”みたいな様子も見せなかった。
まるで計算しつくされた精密な機械のように無機質な感情のカイル。。。



俺は、もともと、子供が好きな訳でもないし、子供の扱い方自体がわからなかった。
女性の扱い方なら慣れているが・・・(※補足※←自称です。)
だから、カイルにどう接したらいいのか迷っていた。
ましてやあんな事件で、表には出さないが心に大きな傷を負っている少年にどう対応するのが正解なのかわからなかった。




トラビス: 俺はできれば、カイルに街にいる普通の子供たちのように、明るく笑顔で過ごして欲しいと願っていた。
それは、亡くなったカイルの父親も願っているはずだ。
せっかく助かった命だ。楽しまなきゃ損だろ?
まあ、人それぞれの性格もあるし、あんなことがあった後に、それを無理強いするのは酷だろう。

でも、俺は少しでもカイルの笑顔を引き出そうといろいろ試したが、カイルは息をの呑むようなきらびやかなものも、カッコイイものも、今流行りのものも、おいしいものも、俺の素晴らしい魔法ですら、彼の心を溶かすことはできそうになかった。




トラビス: それが今、一番カイルに近づけたくなかった危険分子のアリスが、いとも簡単に“それ”をやってのけようとしていた。




トラビス: アリスの場合、カイルの心にある氷の壁をゆっくり溶かすというよりも、無理やりたたき割る感じに近い気もするが;;;




トラビス: でも、その時、子供は子供に任せるべきだ。そして、“アリスならカイルの笑顔を引き出すことができる。”と、そう感じた。




アリス:『♪トゥインコートゥインコーリーロルスター♪ハウァワイワンダー♪~※○×☆■?△✼▲◎ゴニョゴニョ』




トラビス:『やめろ!わからないなら、歌うんじゃない!!どーせそこだけエンドレスなんだろ!』
アリス:『わっわかるけど、あえて歌わないだけだもん!!“ハウァワイワンダー(How I wonder~)”のとこが好きなんだもん!!』

















=数年前=

















=どこかの高い塔の牢の中・・・=



?男: ・・・・・たしかに・・・・




・・・確かに・・・聞こえたんだ・・・




俺は、何だってやってやる。




“善悪”?




そんな概念、人間が勝手に作った上の者が下の者を制御する為の足枷だ。




そんなもの俺には関係ない。







・・・なぜなら、もう俺は人間ではないのだから・・・




いいや、産まれたときから人間ではなかった。。。




喉を焼き尽くすような渇きと、体の底から際限なく込み上げる憎しみが俺を突き動かす。。。



欲望と憎悪だけが俺の原動力だ。





















Next Episode
「Re:Birth」- Episode 10 * Part1 - 〔Are you Alice?〕

✼使用させていただいたCC等✼
*チェリーとホイップクリームがのったプリン❤NOIR AND DARK SIMSさん
*プリンをのせていたチェック柄のお皿❤ATS(Around the Sims3)さん
ありがとうございました。

いつもご訪問&拍手&コメント等ありがとうございます (◡‿◡✿)。
長くなってしまいました。ここまで読んでくださってありがとうございます。

今回は、子供時代のカイルとアリスのストーリーでした。

ラヴェールのあの事件現場からトラビスさんに助けられ気丈に振舞う幼少期のカイルですが、そんな様子を逆に心配するトラビスさん。
カイルを元気づけようといろいろ試しますが、あまり効果はないようで・・・(デフォルトでカイルは無表情ですけど^^;)
そんなときトラビスさんが一番危険視していたアリスが無理やり押しかけて来てカイルを振り回します(笑)

カイルは、尊敬する父親を無残に殺され心に傷とそれ以上に犯人に対して強い憎しみを抱いています。
成長後、トラビスさんとアリスのおかげで心の傷は癒えつつありますが、一方で犯人への憎しみは増幅しつつあります。

ですが、カイルはその感情をあまり表には出しません。特にトラビスさんとアリスの前では。


ちなみに、最後の部分のセリフは、カイルではありません。別の登場人物です。

Wonder Girlアリスは、たぶん設定年齢よりも精神年齢が低い気がします^^;
成長後もそれはあまり変わりませんが(一応彼女の精神年齢もストーリーを追うごとに成長すると思います(✿→艸←))

幼少期アリスの「んっもうっ!!」のじだんだしながら、プンプンするポーズが好きでまた使いました。
(主に、トラビスさんに文句を言う時に使います。)

トラビスさん×カイル×アリスの関係性は、成長した後もあまりかわりません(笑)
特に、トラビスさんとアリスは、いつもあんな感じです(^。◕ܫ◕。^)

トラビスさんが、ラヴェール(元)王国高位魔法使いラフィリアから魔力の半分を送りつけられ意識を失い寝込んでいた時、彼の足の裏に“勘違いヤロー(笑)”と落書きしたのはアリスです。(もちろん、その後ずっと起きないトラビスさんを心配しますけど。)